ふるかわひであきが、日頃の出来事をただ淡々と耽々と語ります。ただ淡々と耽々と毎日続けるブログです。くじけた時も、淋しい時も、裏切られても、だまされても、いじめられても、泣かされても、平気な顔して続けます。ブログは歌とカウンセリングとSC便りを超えられるか・・
<< April 2020 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>
<< 電車にて 2 | main | これは強烈! >>
電車にて 3

続き

 

彼女が私の存在を消しているという私の考えは、もちろんそれが真実なのかどうかは分からない。

 

そんなことは確かめようのないことだ。

 

もし仮に、私が彼女に「どうして私が譲った席にあなたは座らないのですか?」と直接質問したら、彼女の気持ちを害するだろうし、周囲の人も私をデリカシーのない無粋な人間だと思うだろう。

 

私のそんな思いを気にもかけず、彼女はずっとスマホを眺めている。

 

こんなふうにあれこれ思うくらいなら、妙な親切心など起こさずに、妊婦に気付かぬふりをして座っていれば良かった。

 

だけど、一度目の前に妊婦がいて、立っていることを知ってしまったら、知らないところには戻れない。

 

困っている人(実際彼女が困っていたかどうかは、私にはわからないのだが)がいることを知っていて、知らない顔を続けるほど私は図太い神経を持つタイプの人間ではない。

 

「気付かずにすいません、どうぞお座り下さい」

 

「あ、どうもすいません。ありがとうございます」

 

ただこれだけの物語を期待し、どこかで{この善良な私を周囲から認めて欲しい}という、私の下心さえも満足させて完結させたかったのかもしれない。

 

そんな期待が見事に裏切られたから、私は少なからず傷付いた気持ちでいるのだろうか。

 

私のそんな思いを気にもかけず、彼女はまだずっとスマホを眺めている。

 

彼女は、今しがた自分に席を譲った男が、自分から3メートルほど離れた所で、こんなふうに自分のことをあれやこれやと考えているなんて、夢にも考えていないだろう。

 

ずっと考えていると、だんだんと私は、自分がいったい善良な部類の人間に入るのか、悪い部類の人間に入るのか分からなくなってきた。

 

私のそんな思いを気にもかけず、彼女はまだずっとスマホを眺めている。

 

そんなことばかり考えていても仕方ないので、私も自分のスマホを開けてみた。

 

何通ものメールが届いていた。

 

「先生久しぶり!元気?さっきさぁ、コンビニで手袋片方落としたらしくて、一緒にお店にいたおじさんがはぁはぁ言いながら走ってきて、お嬢さん手袋落としましたよって届けてくれはってん。そのおじさん見てたら、なんでかしらんけど古川先生のこと思い出してん。これ前に先生に教えてもらったシンクロニシティゆうやつちゃうかな。ほんならねぇ〜。マスクしいやぁ〜」

 

なんだか気持が和んだ。

 

そのメールに返信をして、もう一度妊婦の彼女の方を見たら、彼女はもうそこにいなかった。

 

私はこんなシンクロニシティが好きだ。

 

席を譲った彼女は、きっと来年の今頃、可愛い赤ちゃんを抱いているだろう。

 

そして、もし私の前に立っていたら、やっぱり私は席を譲るだろう。

 

そんな小心者の自分であり続けたい。

 

今日もブログお読み下さり、ありがとうございます。

2月18日

ふるかわひであき

COMMENT